(前編)
首都圏に住む者たちに命の水を提供し続ける、多摩川。河口から遡り続けてはや80km。
先程訪れた70km地点より、更に谷は深く山は険しくなり、巨岩がむき出しとなっている渓谷となった。
今まで右岸にあった吉野街道は、古里駅周辺で万世橋にて青梅街道と合流し、愈々右岸から車道が消えた。
多摩川の80km地点は、終点の奥多摩駅まであと二つの鳩ノ巣駅と、あと一つの白丸駅とのほぼ中間地点にある
「白丸ダム」附近に存在する。私は、鳩ノ巣駅で降りて南岸の遊歩道を巡り、80km地点を通過して古里駅まで
歩いてみることにした。そして、その時の景色が余りに素晴らしかったので、翌年にも訪れてしまった。
今回は、2007年と2008年の探索を織り交ぜて、80km地点を紹介してみたいと思う。
■青字…2007年の訪問 ■赤字…2008年の訪問
12月の山の冷たい風が、人気の無い鳩ノ巣駅のホームを抜けていった。
私を乗せた4両のオレンジ色の電車は、トンネルへと吸い込まれていった。
ホーロー看板と木の柱に古びた駅舎。昭和のかほりを残すホームに、少し感激した。
駅前は飲食店などが数件ある、小さな広場となっていた。
そこから奥多摩方面へ向かう車道を進んでいくと、やがて道は下り坂となり、国道である青梅街道に突き当たる。
この交差点は、上流方面に奥多摩方面に向かう国道の鳩ノ巣トンネル、そのトンネルを巻く道が通っていて、
さらに多摩川の支流に沿った道が山の方に伸び、今来た道を合わせ5つの道が交差する五差路となっていた。
今回は2度目の訪問とあって、私は鳩ノ巣トンネルの中に入った。
トンネル内は歩道が殆ど無く、時折やってくる大型車に怯えながらトンネルを抜けた。
私は、交差点からトンネルの旧道と思われる巻き道へと進んだ。
少し進むと、そこには古びた標識が。
「駐車禁止」と「落石注意」の看板だが、何故こんな所にこんなものがあるのかは謎である。
これがもし、この道が現役で(恐らく小河内ダムが出来た辺りまで)あったときから存在したのなら、かなりの年代モノとなるのだが。
因みにこの写真は、初代のトップページの画像だった。
写真右奥のトンネル出口から巻き道に入ってきた私は、この交差点に到着した。
ここを左に行くと、多摩川南岸遊歩道(仮称)に至る。
左側の建物には、奥多摩町の学生寮と書いてあったが、…凄く昔からありそうな建物だ。
遊歩道に向かう道は、物凄い勢いで下っていく。
途中に駐車場らしきスペースがあり、そこから先は車の入れない道となった。
その道は意外と険しいところにあるらしく、道の右も左も崖となっていた。
なお進むと、小さな喫茶店(ギャラリー)と吊り橋に至る。
近くには猫が数匹いて、休日の冬の日差しを満喫していた。
この吊り橋は「鳩ノ巣小橋」といい、遊歩道のスポットの一つとなっている。
ただ袂には、写真のような注意書きがあったり、床板がスカスカで下が見えたりと、意外と怖い橋である。
橋の上からは、素晴らしい景色を見ることが出来た。
ねずみ色の岩々と、エメラルドグリーンの多摩川が、紅葉の色を更に引き立たせていた。
私はこの景色の深く感動し、暫く橋の上からこの景色を眺めていた。
すると喫茶店から次々と人が出てきて、あっという間に定員の4人をオーバーしてしまった。
橋が落ちるのも嫌なので(笑)、私は急いで対岸に渡った。
紅葉などまだまだ先の話で、山々は深い緑に覆われていた。
今日は平日ということもあり、通行人は皆無であった。
橋を渡りきった所に有るのが、この看板である。
上流にダムがあるから、サイレンが鳴ったら早く逃げろという旨が書いてあった。
が、私が注目したのはその文の内容ではなく、この絵である。
「サイレンが」と言っている左側の少年はともかく、右側の少年は…コントか?
しかもよく見ると、少年たちの後方から何だかやばい水流が接近しているではないか。
うーん。なんてシュール・・・。
ここから、川沿いの遊歩道を進んでいく。