2007年の夏は、とても変な気候であった。6月はとにかく暑く、猛暑になると予想されていたものが、寒い梅雨が8月の初めまで続き、

しかし8月中旬になると超猛暑となり日本の最高気温まで塗り替えた。多摩川企画最初の取材となったその日も、残暑が激しかった。

さらに、暑いからとサンダルで来た事も後にとても大きな誤算となってしまった。

 

 今回の旅の出発点は、京浜急行大師線小島新田駅である。多摩川河口の神奈川側に鉄道で行くならば、この駅が一番近い。

ただし東京側の河口に行くのなら東京モノレールの駅のほうが近いと思われる。また川崎駅から出るバスに乗れば、もう少し河口に

近づくことが出来る。小島新田駅を出ると左前に歩道橋への階段が見える。まずはそれを登り貨物線を渡る。ここは京浜工業地帯の

真只中であり、沢山の工場や貨物線を見ることが出来る。歩道橋を渡ると大きな通りが現れる。真っ直ぐ行っても工場で進めない。

ここで左に曲がり多摩川方面へ進む。高速道路の高架が見て、非電化単線の貨物線を踏み切りで渡ると大きな交差点が現れる。

この交差点を左へ曲がり、高速道路の下の道を浮島方面へ進んだ。500m程進んだところで私は地図を確認した。私はそこでしばし

悩んだ。ここから河川敷へいける道が無かったのだ。とりあえず私は進む方向を変えて、河川敷の方向へ向かうことにした。すると

北へ向かう道は今まで来た方向(西)へ曲がっていくではないか。正面にはだだっ広い平地、仕方がないので道なりに行き、約300m

進んだ所でようやく河川敷へ行ける道が見つかった。これで約15分のタイムロス。とにかく暑い、小島新田駅で買ったペットボトルの茶は

すでに空に。そして、私の足は恐るべき靴ずれを起こし始めていたのだ。

 

河川敷に着く。駅からここまで迷わなければ10分ほどで行けるだろう。ここからは河口まで果てしない歩きとなる。近くにある案内板を

見ると、河口まで1.6kmと書いてあり。これはしんどいと思った。まだまだ残暑の中、靴ずれの中、往復3.2kmも歩かなくてはならないのか。

…しかし、ここで行かなければこの企画は第1回で消えてしまう。それでは意味が無いと考え、私は行くことにした。気温は32度を超えていた。

 川岸の道は単調な一本道で、自転車で走っている人や散歩をしている人、上半身裸で寝っころがっている人などが居た。多摩川は

すでに海だか川だか分からない状態となっていて、対岸まで1km以上ある。この日は台風9号が関東に来た後であったので、水は茶色く

濁っていた。歩いていくとやがて干潟が見えてきて、まもなく1kmポストがあった。羽田空港も近く、頻繁に飛行機が離着陸しているのが

確認できた。自転車で走ったらとても気持ち良いのであろうが、なんせ真夏日なもので、汗が噴き出して堪らない。そのうちに考えては

ならないことまで考えてしまった。何故やるのか。意味はあるのか―――。

 

 そうこうしているうちに、行く手にフェンスが見えてきた。フェンスの更に先には潮位観測所、つまりこの道の終点、河口のポストが見えた。

嫌な予感を感じつつ、フェンスへ行くことに。するとあろうことか、ここから先は通行止めではないか。土手改修中とのこと。

結局河口には行けなかった

フェンスからは小さな木橋がのびていて、川岸の砂浜へと繋がっていた。それを渡り、川岸にて河口付近の写真を数枚撮った。もうこれで

良いか、河口まであと200m無いし、と諦めて(わざわざフェンスを乗り越えて行くようなところ…でもないし、という情熱の無さ)今度は全く同じ道を

1.6km戻ることに。私の靴ずれは更に激しくなり、足には血が滲む。歩くだけで激痛が襲ってくる。何回も立ち止まり、拭いてもすぐに沸く汗を

また拭いて、サンダルを脱いだ。結局復路の1.6kmを歩くだけで、30分以上は掛かった。痛い。もう写真すら撮らずに、小島新田駅へ戻った。

 

こうして最初から波乱の多摩川調査は始まった。河口には行けなかった…けど…河口付近に行ったということで勘弁してくださ…。

 

0km地点(Yahoo!地図)

2009再訪

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