原生林茂る、甲武の深山 飛龍山(2077m)(4) 2009.03.25-26
どうにかこうにかして辿り着いた山小屋「三条の湯」。
あまり熟睡は出来なかったが、朝になったら頭の痛みは見事に消えていた。
という訳で、いよいよ(ようやく)飛龍山にアタックする。
午前5時59分。天気は快晴。
昨日までのぐずぐず天気が、まるで嘘のようであった。
予定ではここから約三時間半後の9時半には山頂に着き、午後1時過ぎには丹波のバス停についている筈だ。
しかし、果たして雪の具合が気になる…。
小屋のすぐ傍に、飛龍山へ向かう登山道の入口がある。
いきなり急坂のジグザグ道となっており、寝起きの身にはかなり堪える…。
九十九折の急坂を5分も進むと、道は尾根らしき小平地に出た。
雪は昨日降ったと思われるものが、所々に積もっている状態であった。
ここから暫くは、中ノ尾根に沿って行くことになる。
途中数箇所、道が崩壊して無くなっていたりする場所があった。
まあ普通に通過は出来る。やはり怖いが。
雲取山への道と比べて、やはりこちらは歩く人が少ないのであろう。
標高が上がったのだろうか、少しずつ雪が増えてきた。
最初は所々うっすらと積もっていたのが、全体的にしっかりと積もるようになった。
さらに日陰では既に雪が凍りかけているところがあり、若干神経を遣った。
写真手前側の尾根は孫左衛門尾根。この先、道は谷を巻きあの尾根を登っていく。
その奥の尾根が奥秩父縦走路の通う尾根、左側の高みが飛龍山だ。
ここからだとさほど遠くには見えないが、実際はまだ比高が500m以上もある。
中ノ尾根西側をどんどん登っていく。
まだ朝で太陽が東側にあるため、日陰の道となっている。
この地点で積雪は3〜5cm。恐らく殆どが昨日降った雪だろう。
道の両脇には笹薮が茂り、夏は鬱陶しくて堪らないに違いない。
左側から水の音が聞こえてくると、カンバ沢渡渉地点に到着だ。
もう殆ど源流に近く、流れる水の量も僅かしかない。
因みに渡渉地点附近も、雪などで道が不明瞭となっていた。
我々はここでアイゼンを装着した。
慣れない事もあってか、15分位は掛かったと思う。
皆アイゼンの装着が完了し、いざ出発…と思いきや
1m進んだところで、とあるメンバーのアイゼンが外れた。
その後幾度かメンバー(もちろん私も)のアイゼンが外れ、大幅なペースダウンとなってしまった。
カンバ沢から道は孫左衛門尾根の東側を南へ進み、その後すぐに進路を反転し、尾根の西側を北へ進むようになる。
標高がいい加減高くなってきた筈なのに、積雪量は5cm程度と変わらない。
孫左衛門尾根を進んでいると、峰々の向うに富士山が見えた。
その姿はさすが立派であり、また東京の街で見るのより遥かに大きかった。
アイゼンが外れないやしないかヤキモキしていたら、雪上に足跡を発見。
どう見ても人間の足跡ではない。兎にしては大きすぎる。
まさか…m(・(エ)・)m?
いやいや蹄があることから、恐らく鹿かその仲間であろう…。
この足跡は30mほど続き、その後は笹の中へと消えていった。
道はいつの間にか、孫左衛門尾根から奥秩父主脈尾根(仮称)沿いとなっていた。
さらに所々木の桟道が出てきて、地形が険しくなってきたことが分かる。
三条の湯より約2時間45分。
奥秩父縦走路との合流点、北天のタルに到着した。
ここは南東方向が開けており、展望はなかなかのものだった。
木々は霧氷に覆われており、素晴らしい景色を作り出していた。
風が強い尾根だからこその景色だろう。
右側の道を進むと三条の湯、我々が辿ってきた道である。
左側の道は、狼平を経て雲取山に至る奥秩父縦走路であり、幾つか踏み跡がついていた。
正面に見えるのが雲取山(2017m)、言わずと知れた東京都最高峰である。
雲取山にはまだ一度も行ったことがない。近いうちに是非行ってみたいものだ。
それにしても、2000m超の山の頂がほぼ同じ目線まで来ている。
こんな所(現在標高約1920m)まで来てしまったのだなあ…。
我々はここで15分ほど休憩した。
現在時刻は9時20分。もう予定通り9時半に山頂に着くことは不可能だろう。
せめて1時間の遅れで、山頂に到着したい…。
ここから、奥秩父縦走路を西へ進んでいく。