奥多摩に眠る、隧道と橋梁たち

水根貨物線を歩く2

2008.12.13

 

 「むかしみち」を歩いていると、突如右手に出現した廃隧道。

 そこが、嘗て存在した「水根貨物線」の入り口であった(もちろん非公式だが)。

 ここから、小河内ダムへと、錆びた線路が続いていた。

 いよいよ、水根貨物線巡り、本番である。

 

立ち入り禁止のバリケードを抜けると、いきなり長い鉄橋が現れた。

但し、橋の下を跨ぐはずの沢は見られず、桟道のような鉄橋であった。

ここも、先に紹介した「廃線復活」という企画で修繕された区間の一つである。

今こうして画像を見直してみると、枕木はともかく、確かに線路と平行になっている木の部分は新しい。

これならば木の上を歩いても行けそうな気がする。

しかし、我々は線路と補助線路の上を歩いていった。

管理されていない廃線(休止線だけど)では、いつ何が起きるか分からない。

 

鉄橋を渡りしばし行くと、急に視界が開けた。

どうやら、橋(恐らくコンクリート橋)の上に出たらしい。

橋の上だけススキが生えており、少し不思議な空間を演出していた。

 

橋を渡ると、第四氷川隧道が待っていた。

 

これが、今回初めてのトンネル歩きとなった。

トンネル内の線路の状態は大変よく、バラストも枕木もほぼ完璧な形で残っていた。

ただ、そのおかげでトンネル内はかなり歩きにくい。

下手に歩くと躓きかねないので、通過にはかなり慎重を要した。

さらに我々は、ヘッドランプはおろか懐中電灯すら持ってこなかった。

あるのは携帯電話のLEDライトのみ。足元をわずかに照らすことしか出来なかった。

短いトンネルならまだ良いが、カーブがあるトンネルになるとほぼ真っ暗。

ことにこの第四氷川隧道、途中で微妙にカーブしていてやはり真っ暗。

怖かった。

 

150m近くはあった第四氷川隧道を抜けると、トンネルと橋の多発地帯となる。

概して、トンネル内は線路の状態が良く、地上区間はまあまあで、橋は酷い。

線路上には沢山の落石があり、我々が歩いている途中にも小さな石が落ちてきたりした。

 

さてこの短いトンネル、第一小留浦(ことずら)隧道といい、延長は約30m(目測)。

この位のトンネルなら、ライトなしでも歩けるのだが…。

 

第一小留浦隧道を、氷川方面へ振り返り撮る。

とても絵になる光景である。

 

こちらも振り返って撮影。

先程より少し長いこのトンネルは第二小留浦隧道といい、延長は約50m(やはり目測)。

抗口上の高い石垣が、何となく印象に残った。

 

さて、第二小留浦隧道を出て橋を渡ると、こんなものが現れた。

コンクリートで作られた穴と、其れを塞ぐ鉄板。

私的には、井戸か其れに準ずるものではないかと思った。

中を覗き込むことはしなかったので、真相は不明である。

 

さて、第三小留浦隧道の出現である。

延長は目測で60mか80mか、いずれにしても前二つよりは長かった。

 

…このトンネル。かなり自然に還っている。

どこか人類の未来を象徴させるような、させないような光景だ。

 

去る八剣。もとい、猿発見。

しかも数匹群れを成していた。

彼我の距離は約50m。目が悪いので良く見えなかったが、ズームしてみると確かに猿だ。

この写真を撮った直後、猿たちは山の奥へと消えていった。

 

の3

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