石尾根に聳える、雲取の前衛

七ッ石山(1757m)(後編)

2009.02.11

 

 

堂所を過ぎると、時折急坂が現れるなど、道が少しだけハードになる。

標高も1300mを越えて、樹林が切れた所からはなかなかの展望が得られる。

 

小袖の登山口からほぼ一直線に北を目指してきた登山道だが、ここで初めてヘアピンカーブが出現する。

ヘアピンの先端からは「通行止め」と書かれた看板と、そこから延びる細道が・・・。

単独だったらまずその道に踏み込んでいたが、部活ですからね。自重しますた。

 

それにしても雪が現れない。

南側斜面だと、こんなにも雪が少ないものなのか。

 

小袖を発って2時間、ようやく分岐点に到着。

今回は右に進んで七ッ石小屋に向かい、七ッ石山からブナ坂を経由して左からここに戻ってくる予定だ。

一つの方向に矢印が二つあるのかが、少し謎である。そこまで情報量は多くないと思われるのだが。

 

自分でも何を撮ったのかはさっぱり分からない。恐らく七ッ石小屋の近くで撮ったと思う…。

そして、ついにカメラのバッテリーが尽きた。

山頂に届かず、 撮 影 終 了…。

 

 

 

 

…というのもあまりに悲しいので、少しだけ先輩のカメラを借りさせていただきました。

 

七ッ石小屋で休憩を取った我々は、再び山頂に向けて歩を進めた。

ようやく所々に雪が現れ、少しだけテンションが上がった。

しかし…とにかく寒い。小屋の温度計は-3℃を示していた。

 

石尾根に出るとかなりの雪(といっても5cm位だが)があり、私は少しだけ感動した。

しかし七ッ石山方面へ少し進むと、すぐに雪は消えてしまった。

尾根の北側斜面には多量の雪が残っており、今まで雪が無かったのも南側の斜面だったからということなのだろう。

 

えー…。大した盛り上がりも無く、山頂に到着。

北側と南側の展望はあまりよろしくないが、東側と西側はとても良い展望が得られる。

左奥に見えるのが雲取山であり、見たところそこそこ雪は有るようだ。

休日だというのに殆ど人が通らず、ほぼ山頂独り占め状態であった。

 

山頂から、西〜西北方面を望む。

正面に見えるのが、雲取山から延々と甲武信ヶ岳まで続く尾根で、奥秩父縦走路があそこを通る。

灰色の雪雲が空を広く覆っており、標高2077mの飛龍山(大洞山)はすっぽりと隠されていた。

 

こちらは南〜南西方面。

真正面に見えるのが三頭山(1531m)。

天気がよければ、丹沢の山々もはっきり見えたであろう。

 

休憩を終え、我々は山頂を出発することにした。

広い尾根を西に下っていくのだが、何故か結構雪が残っていた。

写真のようにまだら模様になっているところもあり、これがなかなか進みにくい。

雪の上を避けて歩く人も居れば、あえて雪の上を歩く人も居た。

進むうちに、急斜面では雪の上(但し凍っていない)を進んだ方が進みやすいことが判明した。

 

下っていくと、案内板がある十字路に到着。

直進すると雲取山へ、右に折れると唐松谷から日原へ、左に折れるとブナ坂を経て鴨沢に至る。

ここはルート通りに左に進む。

 

ブナ坂の道を進んでいくと(具体的にどこか「ブナ坂」なのかは不明)、登山道が怪しい感じになってきた。

雪が現れたのである。しかもカチカチに凍った。

うあぁ…滑る…。

比較的平坦なところであったから、結局どうにかなったのであるが。

それでも何度か谷側に滑りかけて、本当に怖かった。

 

恐怖のツルツルゾーンが一段落着いたところで、小休憩。

ここで、アイゼンの訓練(?)をすることに。

アイゼンを装着すると、さっきのツルツルゾーンが氷の楽園と化した。

 

訓練を終え、さらに進む。

いくらか凍っているところはあったが、先程に比べたらまだマシである。

木の桟橋を渡ると、見覚えのある標識が。最初の分岐点に戻ってきたのだ。

ここからは、来た道を戻っていくのみだ。

 

時計を見ると、予定タイムより1時間早かった。

本来は鴨沢1645発のバスに乗る予定だったが、これならその前の1517発のバスに乗れるかもしれない、と思った。

我々登山もどき部は、下山がとにかく速いのである。

さらに分岐点の看板によると「鴨沢まで110分」。今は1325分。これなら行ける…。

天気はいよいよ怪しくなり、いまにも激しい雪(雨)が降ってきそうであった。

 

来た道を淡々と下っていき、堂所には14時丁度の到着。

ここで、時間の余裕が無くなってきたことに気付く。

ここから鴨沢まで、標準タイムで1時間半。

…おいおい。自慢の快速下山は何処行った。

 

どんどん進むペースが速まっていく。我々は焦っていた。

あの廃屋が現れたのは、バスが出る40分前であった。

倒木が現れたのは、25分前。

小袖の登山口到着したときには、残り20分となっていた。

 

急げ…急げ…。

我々は何も喋らず、まるで何かに取りつかれたように下っていった。

傍から見れば、かなり怖い人たちに違いなかったろう(笑)。

 

鴨沢バス停。1512分到着。

…何とか間に合った。

1時間飛ばしに飛ばした結果、物凄く疲れた。

…あの案内板は、かなりの健脚の者の為のものなのだろうか。

それとも、我々がちんたらし過ぎていたのか(こっちか?)。

 

バスは、1518分にやって来た。

一番前の座席に座って、すぐに眠りに付いた。

目を覚ましたのは奥多摩湖。激しい雪が降っていた。

奥多摩駅に近付くにつれて雪は雨に変わって行き、奥多摩駅はすっかり雨の帳に包まれていた。

始めは「もえぎの湯」に入ろうと思っていたのだが、もう一刻も早く帰りたかった。

ホームには四季彩が。通常なら飛び跳ねて喜ぶところだが、今はそれどころではない。

 

「どんぐりころころ」のメロディーが流れ、電車が動き出した。

我々を乗せた四季彩は、界磁チョッパの音と共に、ゆっくりと氷川トンネルに吸い込まれていった。(終)

 

チェックポイント

到着時刻

鴨沢バス停

0734出発

小袖乗越(権現平)

0758

立派な廃屋

0824

堂所

0930

七ッ石小屋(昼食)

1033

七ッ石山頂

1155

ブナ坂分岐

1229

七ッ石小屋下分岐

1325

堂所

1359

小袖乗越(登山口)

1454

鴨沢バス停

1512

 

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